名前に使わない方がいい漢字はある?言い伝えの理由と選び方
[公開日]2026年9月4日

「名前に使わない方がいい」と言われる漢字があります。
しかし、その多くは昔からの言い伝えで、はっきりした出どころをたどれるものはあまりありません。
この記事で紹介する字も、いまの名付けでよく使われている字が多く、ほとんどの場合は気にしなくて構いません。
どんな字が、どんな理由で避けられてきたのか。
名前に使いたい漢字が「良くない」とされていたとき、その理由まで知っておくと、迷わずに決められます。
「名前に使わない方がいい漢字」は二種類ある
名前に使える漢字のなかで「良くない」と言われるものは大きく2つに分かれます。
- 名前にふさわしくないとされる漢字
- 「死」「悪」「病」のように、字そのものの意味が良くないものです。どれも名前に使える漢字ですが、意味がそのまま伝わるので、名付けの候補になることはまずありません。
- 言い伝えにより良くないとされる漢字
- 「花」「桜」「幸」のように、名前に使われてきた歴史があり、意味も悪くない漢字です。それでも、昔からの言い伝えで「避けたほうがいい」と言われてきました。
この記事で詳しく見ていくのは、後者のほうです。
前者は字の意味を見ればすぐ分かりますが、後者は、なぜそう言われるのかを知らないと判断のしようがありません。
「この字にしようと思っていたのに、調べたら良くないと出てきた」と迷うのも、たいていは後者です。
なお、名前に使える漢字そのものが常用漢字と人名用漢字のおよそ3,000字に限られていて、この範囲の外の字は、どれだけ意味が良くても出生届が受理されません。
候補の字がその範囲に入っているかは、名付けポンで1字ずつ確かめられます。
「名前に使わない方がいい」と言われる漢字の一覧
昔から「名前に使わない方がいい」と言われてきた漢字を、理由ごとにまとめました。
それぞれの言い伝えは、次の章からひとつずつ詳しく見ていきます。
| 漢字 | 言われている理由 |
|---|---|
| 「花」などの植物を表す漢字 | 花はいつか散り、植物は枯れてしまう |
| 空・星 | 亡くなることを「空に帰る」「星になる」と表現する |
| 春・夏・秋・冬 | 季節は移り変わり、同じところにとどまらない |
| さんずいが付く漢字 | 水が流れていくように、とどまらない印象がある |
| 亜 | 「次ぐもの」の意味があり、一番になれない印象 |
| 未 | 「まだ…しない」の意味があり、未完・未達成を連想させる |
| 久 | 木が死体を支えている形からできた字という説がある |
| 七 | もとは「切る」を意味する字だったという説がある |
| 了 | 「終わる」を意味する |
| 真 | 旧字の「眞」は行き倒れた人を表すという説がある |
| 姫・妃・皇・帝・王 | 身分が高すぎて、名前負けすると言われる |
| 幸 | 意味が良すぎて、かえって名前負けすると言われる |
| 四・九 | 「死」「苦」と読みが重なる |
| (読み)濁点のある名前 | 「人生が濁る」と言われる |
| 親と同じ漢字 | 親を超えられないと言われる |
散る、流れる、移り変わる。自然のものにたとえて言われること
花は散り、季節はめぐり、水は流れていきます。
そのうつろいやすさを人の一生に重ねたのが、ここで紹介する言い伝えです。
植物や花を表す漢字
「花」「菜」「葉」「葵」のように、植物や花を表す漢字は名前によく使われます。
ただ、花はいつか散り、植物も枯れることから、そのはかなさを人の一生に重ねて、避けたほうがいいと言われることがあります。
とくに名前が挙がるのは「桜」と「椿」の2字です。
「桜」は咲いているあいだこそ美しいものの、すぐに散ってしまうため、その散り際の早さが名付けに良くない理由にされています。
また、「椿」は花びらが1枚ずつ散るのではなく花ごと落ちるので、その落ち方が打ち首のようだと武士が嫌った、だから縁起が悪いという言い方をされます。
ただし、この「武士が嫌った」という話は、明治になってから作られたものだという研究があります。
実際の武士は花ごと落ちる姿を潔いものとして好んでいたという説もあり、肥後藩は椿の栽培をすすめていました。
そのとき生まれた肥後椿という品種は、いまも残っています。
天体や気候を表す漢字
空や星は、亡くなることを「空に帰る」「星になる」と表現するため、名前には向かないと言われることがあります。
「空」については、「空っぽ」と読めるので、名付けに相応しくないという見方をすることもあります。
季節を表す漢字
春夏秋冬の字は、季節は移り変わるもの、同じところにとどまらないものという印象から、名前に付けるのは良くないという考えが生まれました。
「春」には色情などの意味があり、「冬」には植物が実らない時期のイメージがあることから、どちらもマイナス要素として捉えられることがあります。
さんずいが付く漢字
流、洋などのさんずいが付く漢字は、流れる、水難に遭うという印象を持たれることがあります。
また、男の子の名前で「~た」の止め字として見かけるようになった「汰」は、流れるという意味や、濁るという意味を持ち、「淘汰」「警察沙汰」のようなマイナスの印象の言葉に使われることから避けたいと考える人もいるようです。
さんずいが付く漢字は数が多く、「湊」のように人気のある名前に使われている字もあります。
字の意味や成り立ちから言われること
字そのものの意味や、成り立ちを理由に避けられてきた漢字もあります。
ただし漢字の成り立ちには諸説あり、同じ字でも資料によって書かれている説が違うので、ここでは言い伝えとして語られている内容をそのまま紹介します。
- 亜
- 「準ずるもの」「次ぐもの」という意味の字なので、一番になれないと言われます。一説には、旧字の「亞」が身分の高い人の墓を真上から見た形だともいわれます。
- 未
- 「まだ…しない」という意味の字なので、未完成や未達成を思わせます。
- 久
- 「長く続く」という良い意味で使われる字ですが、一説には、亡くなった人を木で支える形が字のもとだともいわれています。
- 七
- 一説には、縦横に切れ目を入れた形が字のもとで、もともとは「切る」意味だったといわれます。
- 了
- 「終わる」を意味することに加えて、一説には、布で手足を包んだ幼子の形から作られた字で、腕がないように見えるという理由もあります。
- 真
- 一説には、旧字の「眞」が行き倒れた人を表す字だといわれます。一方で、器に物を詰めて満たす様子を表すという説もあり、同じ字の成り立ちが資料によって正反対になっています。
立派すぎる、良すぎると言われる漢字
良くない意味だから避けられる面がある一方、意味が立派すぎる、良すぎるという逆の理由で避けられる字もあります。どちらも「名前負け」という理由につながります。
身分の高さを表す字
王族や皇族に関わる字は、名前に使うことで特別な存在感を表現することができますが、身分が高すぎておこがましいという考え方や、気位が高くわがままに育つ、という見方をされることもあります。
「姫」は、若々しく可愛らしい印象なので、年齢とともにイメージと合わなくなることも。
意味が良すぎる字
「幸」のように意味の良い字も、良すぎるという理由で避けられることがあります。
大きな幸せが続けば、その反動も大きいという考え方です。
また一説には、罪人にはめる手かせをかたどった字だともいわれます。
とはいえ「幸せ」の願いをそのまま込められる字で、名付けでは定番の一字でもあります。
名前に良くないと言われる響き
ここまでは漢字そのものの話でしたが、読み方について言われるものもあります。
濁点のある名前
濁点のつく音が入ると「人生が濁る」と言われることがあり、特に女の子では、病弱になる、短命になるという言い方をされることもあります。
漢数字の「四」と「九」
「四」は「死」、「九」は「苦」と読みが重なるため、病院の部屋番号などで避けられるのと同じ理由で、名前でも敬遠されることがあります。
親の一字を取るのは良くない?
漢字そのものに良くないとされる要因があるわけではありませんが、親の一字を取る名付けも、良くないと言われることがあります。
親や祖父母と同じ字を使うと、その人を超えられないという言い伝えがあり、さらに、家のなかで呼び分けにくくなるという実際的な話が混ざることもあります。
逆に、同じ字を代々受け継ぐ習わしもあります
通字(とおりじ)といって、家で決めた一字を代々の名前に入れていく習わしで、武家や商家に古くからあり、いまも受け継いでいる家があります。
きょうだいで一字をそろえる名付けも、同じ考え方です。
同じ「親と同じ字を使う」ことが、片方では避けるものとされ、もう片方では受け継ぐものとされているわけです。
漢字にまつわる言い伝えは信じる?信じない?
ここまで見てきた言い伝えは、どれも「そう言われている」というところまでの話で、誰がいつ言い出したのかをたどれるものはほとんどありません。
漢字には複数の意味や成り立ちがあることが多く、捉え方によってはネガティブな面が出てくることもありますが、その字を使うと良くないことが起きるという裏づけがあるわけでもありません。
実際、この記事で紹介した漢字の多くは、いまの名付けにふつうに使われています。
2025年の名付けポン年間ランキングには、蒼空(そら)、美桜(みお)、心春(こはる)、百花(ももか)、桜(さくら)など、ここで取り上げた字を使った名前が多くランクインしています。
※名付けポン年間ランキング(2025年)から抜粋しています(名付けポン調べ)。
漢字にまつわる説で、気になる部分があるなら避けるのも選択肢の一つです。ただ、多くの場合、気にする必要はありません。
もし、まわりから何か言われても、「こういう理由で選んだ」と答えられれば十分だと思います。
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